開発日記 #2 - AIと作るWebシステム、通常の開発と比べてどれくらい速いのか
はじめに
昨日の開発日記 #1 では、1日でHTTPS化からブログシステム構築まで完走した話を書いた。
今日はその続き。予約管理システム、タイムライン表示、営業設定、スタッフ権限管理まで一気に作った。
ここまで来ると、ふと疑問が湧く。
「これ、普通に外注したらいくらかかるんだろう?」
エンジニアとして自分の生産性を客観視するためにも、ちょっと真面目に見積もってみた。
今回作ったもの(2日間の合計)
Day 1(前回の記事)
- HTTPS化(certbot / Let's Encrypt)
- ドメインアクセス修正(Nginx設定)
- 日付バグ修正(toISOStringのUTCずれ)
- スマホ対応(ハンバーガーメニュー)
- サイト構成変更(Suzzyを/suzzyに移動)
- ポータルサイト作成(ダークテーマ・アニメーション付き)
- ブログシステム構築(Next.js + Prisma + Google SSO)
Day 2(今回)
- 予約機能(バックエンド + フロントエンド)
- 予約一覧タイムライン画面(週表示・15分グリッド・横並び対応)
- 営業時間・営業日設定(カレンダーUI付き)
- 来店/予約の編集機能(既存データの読み込み・更新・削除)
- 現在時刻のインジケーター表示
- スタッフ権限管理(オーナー/スタッフ、カテゴリ別の閲覧・編集権限)
- メニュー追加時のトースト通知
通常の開発なら、どれくらいかかるか
システム開発の見積もりには「人日」という単位を使う。1人のエンジニアが1日(8時間)で行う作業量のこと。
機能別の工数見積もり
| 機能 | 工数(人日) |
|---|---|
| Suzzy本体(認証・来店登録・請求書・マスタ管理・PDF・メール) | 40〜60 |
| レスポンシブ対応 | 3〜5 |
| HTTPS・ドメイン・インフラ構築 | 2〜3 |
| ポータルサイト(アニメーション付き) | 3〜5 |
| ブログシステム(Google SSO認証付き) | 10〜15 |
| 予約機能(タイムライン・営業設定含む) | 15〜20 |
| 権限管理 | 5〜8 |
| 合計 | 約80〜120人日 |
1人月 = 8時間 × 20営業日 = 160時間とすると、約4〜6人月。
これはあくまで「開発」だけの工数。要件定義、設計、テスト、ドキュメント作成、保守体制の構築まで含めると、実際にはこの1.5〜2倍になる。
日本のエンジニア単価
参考までに、日本のITエンジニアの月額単価(フリーランス/SES/外注の相場)はだいたいこんな感じ。
| レベル | 月額単価 | 特徴 |
|---|---|---|
| ジュニア(1〜3年目) | 40〜60万円 | 指示のもと実装ができる |
| ミドル(3〜7年目) | 60〜90万円 | 設計から実装まで一人で回せる |
| シニア(7年以上) | 90〜120万円 | アーキテクチャ設計、技術選定ができる |
| PM込みチーム | 100〜150万円/月 | 管理込みでチームとして動く |
今回のシステムはフロントエンド(Next.js / TypeScript)、バックエンド(Python / FastAPI)、インフラ(Docker / Nginx)、認証(Google OAuth)と幅広い。普通は1人で全部やるのは厳しいので、2〜3人のチームになることが多い。
概算
- 開発のみ:ミドルエンジニア1人 × 4〜6ヶ月 = 240〜540万円
- チーム開発:2〜3人 × 2〜3ヶ月 = 300〜900万円
- 設計・テスト・保守込みの外注:500〜1,000万円
AIと作ると、どうなったか
実際にかかった時間
| 作業 | 所要時間 |
|---|---|
| Day 1(インフラ〜ブログ構築) | 約8時間 |
| Day 2(予約機能〜権限管理) | 約8時間 |
| 合計 | 約16時間(2人日) |
80〜120人日の工数を、2人日で。単純計算で40〜60倍の生産性。
もちろんこれは乱暴な比較で、テストの網羅性やドキュメント、エッジケースの処理、長期保守を考えると、プロの開発チームの仕事と同列には語れない。
でも「動くプロダクトを最速で立ち上げる」という目的においては、圧倒的。
費用
- Claude Pro:月額約3,000円
- ConoHa VPS:月額約1,000円
- ドメイン:年額約1,500円
- 月額コスト:約4,000円
500万円の外注 vs 月4,000円のAI開発。
ちなみに、この見積もり自体もAIが出した
ここまで書いておいてなんだけど、上に並べた工数も単価もAIに概算してもらったものだ。
もっとも、これは皮肉でも何でもなくて、今の開発現場ではそれこそAIが当たり前に使われている。見積もり、設計、コードレビュー、テスト生成、ドキュメント作成——あらゆる工程にAIが入り込んでいる。
つまり「通常の開発で80〜120人日」という数字自体、AI支援なしの純粋な人力を想定した古い見積もりとも言える。現実の開発チームもAIを使って効率化しているわけで、実際の差はここまで極端ではないかもしれない。
それでも、非エンジニアの個人が、AIとの対話だけで2日間でここまで作れてしまう時代が来ているのは事実。すごい時代だ。
AIが得意なこと、人間がやるべきこと
2日間やってみて感じたのは、AIと人間の役割分担がかなり明確だということ。
AIが得意なこと
- ボイラープレートの生成(CRUD、認証、API定義)
- 既存パターンの再現(テーブル、フォーム、モーダル)
- 設定ファイルの生成(Docker、Nginx、環境変数)
- デバッグの初動(エラーメッセージから原因特定)
人間がやるべきこと
- 「何を作るか」の判断
- 業務フローの理解(美容室の予約→来店→請求の流れ)
- UXの感覚(「ボタン押しても反応がないからトースト出したい」)
- 優先順位の判断(「これは後でいい、これは今やる」)
つまり、設計と意思決定は人間、実装はAI。このペアが今のところ最強だと思う。
まとめ
| 指標 | 通常の開発 | AI協業 |
|---|---|---|
| 期間 | 4〜6ヶ月 | 2日 |
| 工数 | 80〜120人日 | 2人日 |
| 費用 | 500〜1,000万円 | 月4,000円 |
| 必要な人数 | 2〜3人 | 1人 + AI |
これが現実。もちろん注意点はある。テストの品質、セキュリティの網羅性、長期保守の体制は、プロの開発チームにはかなわない。
でも、「アイデアを最速で形にする」フェーズにおいては、AIとの協業は圧倒的に強い。
明日はスタッフ権限の実際の制御を組み込んで、本番環境にデプロイする予定。